EPISODE
3-4
■「選手の家族の側も「このクラブ、本当に真剣に見てくれるのだろうか」と親御さんが気にし始める。トップはビジネスだけど、アカデミーは違う。」「金だけで解決する問題でもないですもんね。」
横田:そう思うと、ユースの選手のほうがもしかしたらセレッソ大阪を好きなんじゃないのか。そんなことをすごく思った。
彼らやったらJ2落ちようがなにがあろうが、セレッソのために頑張ってくれるのではないか、クラブにい続けてくれるのではないかと思った。
2004年くらいからそんな感じで見ていましたね。
伊庭:今はもう、アカデミーとかユースとか、U-18とかU-15もだと思いますけれど、基本的には横田さんやそのお仲間の皆様のイメージが強いですね。
皆さんがそういうアカデミーを盛り上げているっていうイメージが本当に定着してきている。
横田:騙されているんですよ(笑)
伊庭:そうかもしれないですね(笑)
でも、やっぱりそのきっかけというか、「アカデミーを大事にするクラブじゃないとなかなか大成しないよ」っていうのは、言ってしまえば昔から言われ続けてきたわけですしね。
横田:一般論としてね。
伊庭:一般論もそうですし、クラブとしてもそう感じます。
20世紀の終わりくらいから、当時提携していたバイエルン・ミュンヘンから来られていた方や、当時のU-18の監督さんからも「トップチームのサポーターがユースを応援していかないと強くはなれない」って強く言われたのを思い出しますね。
そこから、ウルトラを誘導しながらなんとか見に行くようになったのもありますしね。だから横田さんや皆様の力がすごいなと感じますよ、僕は。
ところで、どれくらいユースの試合を見ているんですか?
横田:2004年から見てきて、2005年からはほぼ全試合を見てますね。
伊庭:いや、本当にすごいなって思うんですやっぱり。「大したことやってない」って言われるかもしれないですけど、そこ結構大事なところかなと思ってて。
やっぱり、あの年代の子たちってデリケートだとも思いますし、さきほど横田さんが言われたみたいにトップに上がれる子とか上がれない子とかもいて。その先、大学行ったりとか他のクラブに行くっていう人たちもいるじゃないですか。
そういう”親心”っていうのかもしれないですけど、それってクラブにとっても助かってるんじゃないかなと思いますけどね。
横田:どうなんでしょうね。別に「感謝されたい」と思っているわけでもなくてただ単に「自分が見たい」って言ってるだけなので。
まあ言ってしまったら「打てば響く」じゃないけど、人数も少ないしストレートに選手に伝わるっていうか。選手が若いというのもあるので、素直に応えてくれるのもあるし。そこが見てて面白いところです。
伊庭:でもやっぱり大変ですよね?
横田:一番思い出すのが、味の素スタジアムでトップの試合を見たあと、次の日に大分で行なわれるユースの試合を見に行くという行程。公共交通機関を使って結構大変な思いをしました。
先行しながら最後に逆転負け、1試合残して予選敗退が決まって選手も俺らも号泣した試合で、よく覚えています。
そういえば曜一朗(柿谷曜一朗選手)のこともそれほど覚えていないんですよ。一年でプロ契約してしまったし代表にも呼ばれていたし。それから、やはりユースだと3年を中心に見ていたし。
伊庭:そうなんですね。なんかめっちゃ見てたのかなと思ってました。確かにユースの選手としての姿はいうほど見ていなかった気もしますね。
横田:その年の選手は結構揃っていたので。次の年は力が落ちて、なかなか厳しかったです。
2006年は、三年生がほぼほぼU-15から上がってきていなくて。なぜかというと三年前はトップチームがJ2にいたから。
トップチームがJ2にいるときの、U-15からU-18に上がるというのは、周りが思っているよりもシビアなんです。U-15に入ってくる選手も同様ですね。
だから、現在で言うと、ゴタゴタしたりしていたりするので、次の中学1年生が来てくれるのか、を気にしてしまいます。
伊庭:勧誘とか、ってことですよね。
横田:それもありますし、選手の家族の側も「このクラブ、本当に真剣に見てくれるのだろうか」と親御さんが気にし始める。トップはビジネスだけど、アカデミーは違う。
伊庭:金だけで解決する問題でもないですもんね。