EPISODE

3-5

■「多少だめっぽいなと感じていても、将来性を見据えてトップに上げるっていうのも、あってもいいかなと」「変なこと言うと、トップが強くなり過ぎた」

横田:セレッソ大阪のサポーターが、もっとこういうところを気にしてくれるほうがいいかも、とも思う。

トップチームにいくら良い監督を連れてきたところで、そのゴタゴタのあおりを受けて、ユースの危機は6年遅れてやってくる。いや、10年はかかる。10年は引きずる。

正直、自分が生きているうちに正しく戻るのかどうかが気になる。みんなトップチームばかりを気にしているけれど、逆に、今のトップチームよりもその先のほうが怖い。


伊庭:ほんまそうですね。


横田:ユースを見ていて思うのは、トップチームとかだけでなく、ユースに所属してた選手がいて、その親御さんがいて、友達がいて、その選手を応援している。

仮にプロになれなかったとしても、「セレッソのユースでやっていて良かったな」という気持ちがあれば、もし近くに知り合いがいて、セレッソと他のクラブにも誘われているなんてときに、セレッソのほうが良いよ、セレッソを薦めてくれる可能性は高い。

自分の子供がサッカーを始めたときに「セレッソのアカデミーに入れたい」と思うかどうか。応援してもらった、という、わずかな可能性に過ぎないのかもしれないけど、こうしたことが”地域に根を下ろしたクラブの形”なのだと思う。


伊庭:理解はしているんでしょうけど、たぶんそこまで行動に移せないのか、やっぱりそういうしがらみとかも含めてやっていかなければいけないわけで。

なでしことかもそうじゃないですか。やろうと思えばできるけど、やっぱりなんだか、やる価値がないと思ってる人たちも中にはいたりするとか。まあその辺りはね、なんかね、外から聞いている話と内部の話のギャップもあったりする。

なんか嫌な感じになってきましたね。


横田:まあ、特に今はゴタゴタしてますから、そこのところはね。でも、だからこそこの下部組織のところを、困った時にはちゃんと立ち返るベースが欲しいのですよね。上は焼け落ちて灰になっても土台は残したいですね。

それでも、選手には罪は無いので応援し続けないとね。

これまでも色々ありましたけど、今回は”絵”がないまま、行き当たりばったりで進むのが怖いですね。”絵”があれば多少なりとも上下したところでなにも思わないんですけどね。


伊庭:やっぱり、フィロソフィー、哲学がブレるとね。根元から崩れてしまうから「大事にせーよ」とは思いますが、しがらみとかなんやらで崩れるというか、変わってしまいますよね。


横田:上は枯れても根は残る、なら良いけども、根まで食い込んできそうで怖いですね。不安で仕方ないです。


伊庭:食い込んでますよね。多分。


横田:選手と親御さんは敏感ですからね。

クラブが今どんな状況か、とかは親御さんのほうがよっぽど知ってるんですよ。

上手い子同士の親御さんなんて横でつながってますからね。すぐに伝わる。見えている以上のところに伝わっていく。それが怖い。それが数年先まで続くんですよ。


伊庭:今年もユースからトップチームに上がってないじゃないですか。これはどう思います?


横田:今年は去年の選手に比べて、プロとしてやれそうな、ハッキリした特徴という部分で弱いかなと感じる。

今の子たちは能力はやっぱりすごい。ユースを見始めた頃から比べたらみんな上手いですよね。でも”飛び抜けた、これ”っていうのがない。


伊庭:U-23の最後の年でしたが、2020年って結構アカデミーの選手使っていたじゃないですか。あれでもやっぱり、まだまだ弱い感じなんですか。


横田:うーん、そうですね。悪くはないけど、どうしたって「じゃあトップチームに上がれるか」っていうものさしで見る。この選手がトップチームに上がったとき、誰と競わないとあかんか、で考えると、正直「うーん」ですよね。

今、必要なのは右サイドバックだと思います。


伊庭:アカデミーの選手が多く試合に出ていたJ3の試合はほぼ見ていたので感じるんですが、まあ、多少だめっぽいなと感じていても、将来性を見据えてトップに上げるっていうのも、あってもいいかなと思ったりしました。


横田:そうなんですけどね。変なこと言うと、トップが強くなり過ぎた、と。今のトップチームで、いきなり高卒新人を使うのは非常に難しい。